遺言書の作成事例 その1
今までのブログでは、相続法の法改正を中心に掲載してきましたが、今回から数回は遺言を作成された事例についてご紹介したいと思います。
目次
【お世話になった法人へ遺贈したい場合の事例】
【遺言者及び相続人等】
遺言者:Aさん(男性・70代・独身)
相続人:Cさん(娘・30代)
受遺者:株式会社Z
【背景】
Aさんは50代で離婚し、娘Cさんとは離婚以来1度も会っていない。
その後Aさんは、病気などで働けなくなり生活に困っていたところ、株式会社Zに助けられ、またZが斡旋する家賃が安価なアパートに入居し、食事を含む介護サービスなども受けられることになった。
その後Zの担当者に調査をしてもらったところ、未受給の厚生年金及び企業年金があることが判明し、まとまった額の年金を受給することができたため、将来の生活への不安が解消された。
Aさんは、今の生活に満足されていて、今後もZにお世話になるため、自分が亡くなった時に残余財産があれば、Zに遺贈したいと考え、遺言書を作成することにした。
【相続財産】
・預貯金のみ
【遺言の種類】
公正証書遺言
【遺言の内容】
・当初は、残余財産全て(金融資産と動産のみ)を株式会社Zに遺贈するつもりだったが、相続人である娘Cさんには遺留分権利があることや、父親として何も生活への援助ができなかった後悔から、遺留分を考慮した割合でCさんにも相続することにした。
・生活に使う動産はごく僅かのため、処分も含めて株式会社Zに一任することを記載した。
・予備的には、相続開始時に株式会社Zが倒産や破産していた場合は株式会社Zへの遺贈分を娘Cさんに相続し、娘CさんがAさんより先に死亡していた場合はCさん相続分を株式会社Zへ遺贈する旨を記載した。
【本事例のポイント】
・相続人以外の者に相続財産を遺贈したい場合は、遺言が必要であること。
・遺留分を考慮した内容であること。
・遺言者より先に受遺者が倒産や破産、相続人が死亡していた場合の予備的な記載をしたこと。
遺言や相続についてお困りの際は、東京都町田市の「相続東京町田相談室 行政書士北尾芳信」へご相談ください。
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