Blog ブログ

Blog

HOME//ブログ//民法(相続法)改正について その5

ブログ

民法(相続法)改正について その5



こんにちは。東京都町田市の「相続東京町田相談室 行政書士北尾芳信」です。
昨年7月、民法(相続法)の大きな改正がありました。
今年7月1日に施行開始となった法律についてご紹介したいと思います。

【自筆証書遺言の方式緩和について】
自筆証書に、パソコンなどで作成した財産目録、金融機関の通帳コピーや不動産の登記事項証明書などを財産目録として添付したりして遺言を作成することができるようになりました。

目次

【1】旧民法のもとでは

旧民法では、遺言書の全文を自書する必要がありました。
本文のみならず、財産目録も全て自書しなければならず、全文の自書は相当負担が掛かります。
特に高齢者であって遺言の必要性が高い者にとって、「財産が種類・数量が多数」、「複数の相手に相続・遺贈する」など複雑な記載を必要とする場合、全文を自書するという要件は身体的に負担が大きく、作成を断念したケースも多々あったかと思われます。

【2】新民法のもとでは

新民法では、遺言書本体部分はこれまでの通り全文を自書する必要がありますが、財産目録部分をパソコンなどで作成することが認められました。
これにより、財産の種類・数量が多い場合であっても、遺言者自身のみならず補助者がパソコンで財産目録を作成・印刷するなどして、一定の範囲で遺言書作成の負担軽減が図れるようになりました。
例えば、不動産一覧の所在・地番・地目・地積などをパソコンで作成・印刷し、その全ページに署名・押印することで、これらを遺言書一体として扱うことができます。具体的には、パソコンで作成する不動産一覧に、「別紙不動産目録」などの表題を記載し、遺言書本文に自書で、「別紙不動産目録記載の不動産を長女Aに相続させる。」との記載方法が考えられます。
その他、他人の代筆による場合、金融機関の通帳コピーや不動産の登記事項証明書を財産目録として使用する場合でも、これらに署名押印することで有効になると考えられています。

【3】この制度活用で注意する点について

・財産目録の全ページに署名・押印する必要があります。署名・押印が無いページの記載が無効となるばかりか、そのページを無効とした場合に財産の特定が不可能になるなど、遺言書全体が無効とされる可能性もあるからです。
・パソコンなどで作成した財産目録でも、記載内容を修正するには、修正内容を自書、修正箇所に押印する必要があります。また、押印する印鑑については、以前の財産目録に押印した印鑑と異なる印鑑であっても有効と解されますが、遺言の無効を裁判で争われる原因になるため極力避けるべきです。
・財産目録の自書を不要とすることで、第三者が財産目録を偽造し差し替えてしまうリスクが考えられます。これらの偽造防止のためには、2020年7月から始まる法務局での遺言書保管制度の利用を検討することが望ましいといえます。遺言保管制度を利用しない場合では、遺言書本文と財産目録とは編綴および契印すべきでだと考えられます。

旧民法の制度から、自筆証書遺言作成の要件が緩和されたとはいえ、新民法での要件を満たさない場合は、せっかく作成した遺言書も無効になることもありますので、作成する場合は行政書士などの専門家にご相談いただければと思います。

遺言についてお困りの際は、東京都町田市の「相続東京町田相談室 行政書士北尾芳信」へご相談ください。

SHARE
シェアする
[addtoany]

ブログ一覧