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相続の基礎知識について その2



こんにちは。東京都町田市の「相続東京町田相談室 行政書士北尾芳信」です。
5月24日にアップしたブログ「相続の基礎知識について その1」では、基礎の中でも基礎的なことのみを記載しましたので、今回はもう少し具体的な内容と、遺産分割の事例について紹介したいと思います。

目次

【1】相続人と法定相続分、相続で問題となる事例

上の図をご覧ください。
相続人と法定相続分についてまとめてみました。
遺言書が無い場合の相続は、相続人間での遺産分割協議が必要で、かつ相続人全員の合意が必要です。
ここで注意していただきたいのが、法定相続分があるからといって、必ずその通りに分割しないといけないのではなく、相続人全員の合意があれば、違った割合で分割しても問題ありません。
例えば、夫が亡くなり、相続人が妻と子1人の場合、妻と子の遺産分割協議で両者が合意すれば、妻が夫の相続財産を全て相続しても問題ありません。
あくまで法定相続分は、法律の控えめな提言に過ぎないのです。

下記では、相続で問題になる一般的な事例を紹介します。

事例①うちには子供がいないから夫の財産は全て妻の私が引き継ぐ?

相続が発生し遺言書が無い場合は、法定相続分による遺産分割が原則で、夫に両親または兄弟姉妹がいれば彼らも相続人となります。相続人全員での遺産分割協議が必要ですから、妻が全て相続できる訳ではありません。

【事例】女性(50代)[子供無し、義父母(80代)]
 女性の夫(50代)が急性心筋梗塞で他界。夫の相続財産は評価2000万円程度で、その内訳は女性も住む不動産、株式及び預貯金。夫には遺言書がなく、法定相続分では配偶者である女性が3分の2、義父母が合わせて3分の1であるが、女性としては今後の生活もあり、また祭祀承継者として姻族関係を継続するため、法定相続分より多く相続できると考えていた。また、夫の生前中は義父母との関係も悪くなかった。ところが、夫の四十九日法要後に女性が義父に遺産分割協議の話をしたところ、義父の態度が豹変し、「息子の財産は全て親である私たちがもらい、お前には1円も渡さない。」と詰め寄り、協議ができる状態ではなくなる。その後家庭裁判所での調停となり、女性と義父母は調停案での遺産分割に合意し解決したが、高額な弁護士報酬を双方が支払うことになった。

事例②うちにはたいした財産がないから大丈夫?

土地、家、預貯金はありませんか。狭い土地でも、築40年の家でも、少額の預貯金でも相続財産にかわりありません。また、借金などマイナス財産があれば放置することは出来ません。尚、プラス財産よりマイナス財産が多く、相続したくない場合は、相続開始を知った日(実際は被相続人の死亡日)から3カ月以内に、家庭裁判所に対して「相続放棄」を申述しなければなりません。これを怠ると相続を承認したとみなされ、被相続人が残した負債を相続人が背負うことになってしまいます。

【事例】40代男性[兄弟姉妹はいない]
 男性の父(70代)が他界。父とは、母と離婚した後から仲が悪く10年以上も疎遠な関係にありましたが、ある時市役所からの連絡で父の死亡を知らされました。男性は父の葬儀を行い、預貯金のみ(約50万円)を相続し、相続は終わったと思っていました。ところがその4ヵ月後、男性のもとにある金融機関から督促状が届き、内容を確認したところ、父には約300万円の借金があることが判明しました。男性は専門家に相談しましたが、預貯金を相続していることから、父の相続に関して単純承認しているとみなされ、相続放棄は認められませんでした。男性は、父の借金300万円を数年に渡って返済する羽目になってしまいました。

事例③うちの子供たちはみんな仲が良いから問題ない?

【事例】男性(30代)
 男性の父が他界。母は先に他界していたため、法定相続人は子供である男性のみと思われていた。しかし、専門家に遺産分割協議書作成などを依頼し、相続人調査をしたところ、男性には異母兄が存在することが判明した。男性の父には40年前に離婚歴があり、男性は離婚歴のことは知らされていたが、異母兄の存在までは知らされていなかった。父には遺言書が無く、異母兄との遺産分割協議の結果、男性が20分の19、異母兄が20分の1を相続することで合意したが、もし異母兄が法定相続分の2分の1を主張した場合は、協議がまとまらず、相続争いに発展した可能性があった。

【2】このブログのまとめ

1.事例①は、遺言書があれば「相続」が「争続」にならずに済んだと思われます。
2.事例②は、相続人がよく調べて、マイナス財産が多い場合は「相続放棄」を申立ていれば済んだと思われます。
3.事例③は、幸いにも争いには至らなかったが、遺言書があればスムーズな相続手続きが行われたと思われます。(但し事例①は義父母に、事例③は異母兄に遺留分権利があり、それらに配慮した遺言内容にする必要があります。)
4.相続は必ず誰にでも起こります。相続が発生したら、必ず何らかの手続きが必要ですので、決して放置しないでください。
5.遺言は、自らの死後のために遺した最終意思表示であり、遺言書を作成することは、受け継ぐ相続人間の争いを未然に防ぐ第3の保険と言っても過言ではありません。

相続、遺言についてお困りの際は、東京都町田市の「相続東京町田相談室 行政書士北尾芳信」へご相談ください。

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